近隣の住人が汚部屋のときに上手く対処する方法は?

こちらでは自身が汚部屋住人ではなく、周囲に汚部屋にしている人が住んで困っている。臭いが耐えられない、虫害がひどくて限界!そんなお悩みを持つ方が適切に対処する為にはどうすれば良いのか、解説していきます。

まずは相手を知ろう 汚部屋住人の特徴とは

一見普通なのに、窓から偶然見えた景色にゴミの山が・・・そんな風に気付いてしまうケースは多くあります。

家の外までゴミがあふれ出るような、誰の目にも明らかなゴミ屋敷は、行政に対応を委ねるのがベストですが、いわゆる隠れ汚部屋住人も意外と世の中には多いもの。

ただ、怒鳴るような物言いで感情的に相手を叱りつけたところで逆効果になる恐れがあります。

というのも、汚部屋住人の特徴として

  • うつ病や脳器質障害などなんらかの疾病で苦しんでいる
  • 仕事や人間関係で大きなストレスを抱え無気力状態になっている
  • あなたからはゴミに見えても本人にとってはそうではない

といったように、本人も汚部屋になりたくてそうしているわけではない人も多々います

そういった精神的に苦しんでいる相手に対して、高圧的に物を言ったところで絶対に伝わりません。より一層病んで汚部屋がひどくなるだけの可能性すらあります。

とは言え、実際に臭いや虫などの被害が出ている場合、それを放置しているわけにはいきません。

汚部屋の隣人への適切な対処方法とは?

やってはいけないこと・無意味なこと

賃貸アパートやマンションなどの共同住宅であれば、管理会社や管理人がいますが、そこに連絡して丸投げ、というのは悪手です。

と言うのも、そういった形で本人に注意が行くと

『告げ口しやがって』

逆恨みされる可能性が高まるからです。

また、警察や消防などの行政組織は、汚部屋に関しては原則として民事不介入の立場なので、こちらには相談するだけ無駄です。

対処にはステップがありますので、次から解説していきます。

まずは複数人で様子を見に行くこと

大切なのは、困っているあなた個人の主観だけで動かないことです。

管理会社に連絡を入れ、状況を一度見に来てもらいましょう。通常、賃貸アパートであれば

『入居者は本物件またはその敷地内において危険物の持ち込み・所持、騒音・悪臭の放散、衛生上有害な行為、及びその他風紀を害し近隣の迷惑となるような行為をしてはならない。』

といった内容が契約書の約款に盛り込まれており、現場を確認した上で、上記に該当するとなれば住人は対処する義務がありますし、管理会社も住民へ注意する必要が出てきます。

また、相手が一軒家の場合、連絡先は区役所・市役所等の自治体です。

行政には地域の衛生状態と生活環境を守る義務がありますので、そちらへ相談の上、現地調査に立ち会ってもらいましょう

本人への注意は必ず複数人で

中が住居である以上、強制的な立ち入り・掃除などは出来ません。原則として、住人本人が片付けなければなりませんので、出来る事はあくまでも口頭での注意・お願いです。

ただ、先ほどもお伝えした通り、住人の方自身が精神的・身体的に病んでいるケースがありますので、丁寧な物腰で接することを心掛けましょう。

また、非常識な方が住んでいる場合、一人では身の危険もあります。実際にゴミトラブルで殺人事件も起きておりますので、注意の際は必ず複数人で伝えに行きましょう。

汚部屋が原因で起こった火事・事件の実例

尚、自治体によっては、ゴミ屋敷対策条例を設けているところも多いので、一度区役所に相談してみるのも良いでしょう。

その場合にも現地確認・本人への口頭注意等はなるべく複数人立ち合いで行うのが望ましいです。

本人が悩んでいるようならNPOの紹介等も有効

口頭で注意する際、非常識な方でなければ通常は片付けようと努力してくれるものです。しかし、どうしても片付けられないという方へ手を差し伸べる方法としては『NPO法人 日本ハウスクリーニング協会』のような支援団体を紹介するのも一つの手です。『ここへ相談してみたらどうですか?』と一声、相手に寄り添う気持ちを見せることで、相手も話を聞いてくれるようになる可能性はあります。

スマホ動画・ボイスレコーダーなどは慎重に

万一トラブルになった時の為に、スマホにボイスレコーダーアプリなどを入れておきたいところ。

接触する時の保険として音声記録をつけておきたいという方もいらっしゃるかもしれません。

ただし、動画撮影はNGです。いきなりカメラに撮られるとなれば当然相手は警戒しますし、激高する危険性が高まります

記録器具を使う際には、絶対に相手にバレないよう細心の注意を払って下さい。

汚部屋住人への対処は長丁場を覚悟しよう

口頭注意ですぐさま動いてくれるような方であればよいのですが、汚部屋の程度によっては中々ゴミが片付かないというケースも多いです。

また、行政の対応もそこまで迅速ではない為、汚部屋隣人への対処は基本的に長期戦になることを覚悟しなければなりません。

『なんで迷惑を受けているこっちが・・・』

と思うかもしれませんが、汚部屋住人にも人権があり、憲法に制定された『財産権』の範疇となってしまうので、他人が立ち入れる部分とそうでない部分は残念ながらあるのです。

ご自身でも出来る限り臭いや虫の対策を行い、管理会社や行政組織、NPO法人などに最終的な対処を任せましょう。

訴訟は迷惑行為の民事案件 効果は薄い

どうしても納得できないという場合、相手を『訴えてやる!!』と憤る方もいらっしゃいますが、ゴミ屋敷を直接罰する法律は現在ありません。

自治体の条例による禁止行為は、隣人が訴えるものではなく行政側の判断によるものです。

訴訟できるとすれば、隣人のゴミの悪臭で明らかな健康被害が出た、私物が損壊した、などの被害があった場合ですが、慰謝料といっても微々たるもので、裁判の手間を費用を考えればとても見合うものではありません。

また、汚部屋住人の方はそれほど財産を持っていない生活困窮者のケースも少なくないため、例え民事で勝訴しても実際の実入りがあるかも不確かです。

本当にヒドイ汚部屋の場合、迷惑を受けているのはあなただけではないはずですので、そういった方達にも協力をしてもらい、とにかく行政側を動かせるよう、そちらのへエネルギーを割くのが賢い方法と言えるでしょう。